「未来へ残したい、田人の情景」と題し、歴史ある田人の名所・旧跡をコラムでご紹介する「たびと百景」第三回目は、「田人の石割桜」をお届けします。
いわきWEBアワードで2年連続ブログ賞を受賞した「いわき百景~未来へ贈る誇りの情景」を運営されているしゅうさんの全面協力により、皆様を田人の歴史へ誘います。
市指定保存樹木いわき市内でも遅咲きの桜として有名で、満開と同時に散りはじめる、非常にタイミングが難しい桜でもあります。 御影石の割れ目に発芽したヤマザクラが長い年月を経て成長したそうです。巨大な根からは太い幹が何本も左右に広がり、無数の小枝を張っています。まさに石を割って成長し続ける姿は圧巻です。眺める方向によって、実に様々な姿を見せてくれる、末広がりの縁起が良い一本桜ではないでしょうか。
近年、外回りの藪が整備されて道が広くなり、見通しが良くなりました。 石割桜の傍には馬頭観音の石碑が祀られており、この道が昔は重要な街道だったことを思わせます。馬頭観音の多くは、旅の途中で亡くなった馬を偲ぶために祀られていると聞きました。きっと昔はここをたくさんの旅人が通って山を越えたことでしょう。
その昔、泉藩の二代藩主「本多忠籌」が江戸幕府の老中を辞任して隠居の身となっていた頃、病の療養で泉町下川の鉱泉へ出掛けた折に、見事な石割桜を見て詠んだ句がありまして、その句が書かれた木柱が石割桜の傍に立っています。 「春遅し此の山里の桃桜」 この句からも、石割桜の開花が遅いことがわかりますね。昔から様々な人が行き交ったであろうこの街道に、今もこうして咲き誇る石割桜。
この見事な一本桜の存在は、ヘアーサロンひらこさん(田人町黒田字大久保43)の店主であるひらこおばちゃんからお聞きしたことがきっかけでした。 「このあたりはなにか名所ってありますか?」 「それなら、この上さ上がっていったところにある石割桜だねえ、最高だよ~。石を割って生えてるから石割桜、春になったら行ってみな~。少し遅咲きだからねえ。若い頃、お父さんと観に行ったっけなあ。」
いつか石割桜の写真を届けることを約束し、納得のいく満開の1枚を求めて通うこと早3年。 昨年の姿は特に最高でした。今年、約束の写真を届けに行こうと思っています。
いわき市田人町旅人字横根地内(地図)